
いやいや、今年の冬は寒いですね。
このあいだは、猫がらみの諺や慣用句のお話でしたが、となれば、
当然の成り行きとして、今回は「犬がらみ」で行きたいと思います。
犬オーナーのみなさんはもちろん、猫オーナーのみなさんも、
……以下、前回の4行目と同文。
猫に比べるとやや少なめですが、もちろん犬も、
いろんな言葉の中で元気に駆け回っています。
「飼い犬に手を噛まれる」「犬も歩けば棒に当たる」「犬死に」
「負け犬の遠吠え」「犬が西向きゃ尾は東」「犬猿の仲」
「夫婦喧嘩は犬も食わない」「官憲の犬」「羊頭狗肉」……などが有名。
犬がらみも、猫と同じで、あまりよくない意味の言葉が多いですね。
「猫は三年の恩を三日で忘れる。犬は三日飼えば三年恩を忘れない」
いい意味の言葉を探すとしたら、このあたりでしょうか。
ただ、猫には失礼な言い方だし、犬を単純なヤツ扱いしている気配も……。
今回も、
大人のペット好きの意地とプライドをかけて、
これらの言葉をいい意味で使いこなす道を探ってみましょう。
……うーん、と張り切って、
頭を抱えてワンワン、いやウンウン唸りながら考えましたが、
いい意味で使おうというのは、かなり困難な挑戦のようです。
無理に使うとすると、美しい女性をホメ称える場面で、
「キミほどの美人がモテるのは当たり前さ。犬が西向きゃ尾は東だよ」
と言ってみたり、仕事で大きな契約を取り付けた場面で、
「たまたまですよ。犬も歩けば棒に当たるっていうか……」
そんなふうに謙遜してみたり、といった感じでしょうか。
どちらも、やや「取ってつけた感」が漂いそうですが、
犬への愛の証しだと思って、使えそうな場面があったら、
違和感を乗り越えつつ果敢に使ってみましょう。
諺や慣用句のラインナップをながめてみると、
「そこはべつに、犬じゃなくてもいいんじゃないの」
と思えるものも、けっこうあります。
いい意味で使うのはなかなか難しそうなので、
あえて犬以外の動物に入れ替えて使うのはどうでしょう。

かわいがっていたつもりの相手にひどい目に遭わされたときには、
「まったく、飼いハムスターに手を噛まれた気分だぜ」
そう言ってしまえば、犬を守ってあげた気になれるし、
たいしたダメージではないと強がっている気配も示せるかも。
まあ、ハムスターにはちょっと申し訳ありませんが。
両親や友達の夫婦の喧嘩をなだめるときも、
「まあまあ、夫婦喧嘩は豚も食わないっていうからさ」
と言えば、喧嘩をしていることのくだらなさがより強調されて、
効果的に反省を促すことができる……かな?
もしかしたら怒りの矛先がこっちに向かってくるかもしれませんが、
「犬よ、オレは頑張ったぞ!」という誇らしい気持ちは味わえるでしょう。
「猫がらみ」にせよ「犬がらみ」にせよ、
諺や慣用句という長年の伝統に逆らおうとするのは、
どうやら、なかなか容易ではないようです。
しかし、
大切なのはチャレンジする心を忘れないこと。
たとえ大スベリしても、裏目に出ても、犬や猫だけは、
「よくやったね。気持ちは嬉しいよ」と思ってくれるはずです。
いやまあ、ものすごく勝手な期待ですけど、
どんな勝手な期待にも応えてくれるのが、ペットのありがたいところ。
ああ、またあらためて、ペットの底力を思い知らされました。